カペナウムの日々
ご入居者様の詠まれたお歌を紹介させていただきます。
白南風2016年11月号に掲載されています。
カペナウムの日々 宇藤 千枝子
・綿菓子を子に与えてより五十余年ホームに食みぬ八十年経て
・こわごわと花火を差し出す幼女の手一瞬を映して闇にもどれり
・浴衣着るスタッフ、幼女も混じりいていよいよ華やぐホームの夜祭り
・初鳴きの蝉にさそわれ朝庭を友とめぐれり抜け殻探すと
・奥まりし庭に生えたる雪柳小さき蝉の抜け殻揺るる
・一本に抜け殻四つ見出してほほ笑みあいて声はずませり
・足元に蝉穴七つ見出して思いふくらむ幼なにかえりて
・過ぎし日を憶い出しつつ空蝉に吾を重ねて蝉の声きく