グランドホーム・カペナウムは東京都清瀬市にある、豊かな自然に囲まれた有料老人ホームです。

2015年12月31日木曜日

病床六尺

          

                                                「病床六尺、これが我世界である。しかもこの六尺の病床が余には広過ぎるのである。」で始まる『病床六尺』は、明治3555日から同年917日(死の2日前)まで正岡子規が書き綴った文章で、新聞『日本』に連載されました。
この書は、病人の手によりますから、看護や介護の仕事をする人々にとって大変勉強になることが沢山書かれています。
たとえば、
「直接に病人の苦楽に関係する問題は家庭の問題である。介抱の問題である。病気が苦しくなった時、または衰弱のために心細くなった時などは、看護の如何が病人の苦楽に大関係を及ぼすのである。殊にただ物淋しく心細きやうの時には、傍の者が上手に看護してくれさえすれば、即ち病人の気を迎えて巧みに慰めてくれさへすれば、病苦などは殆ど忘れてしまふのである。」
そして、看護が下手だと病人は腹をたて「普通の病苦の上に、更に余計な苦痛を添へる」(716日・65)ことになる。

子規はこの「介抱」「看護」を家庭の女性の役割とし、それが不十分なのは家庭教育の問題であると述べていますが、現代では、「介護」を家庭だけに任せるのではなく、社会全体で担おうとしています(介護保険)。そこに新たな問題が生まれていますが、いつの時代でも相手(病人・高齢者等)の立場にたった介抱(ケア)が求められていると思います。